2011年10月25日火曜日

僕がGunosyを作った理由

本日Gunosy(http://gunosy.com)というwebサービスをα公開しました。

そこで本日は僕がなぜGunosyというサービスを作ったのか,どういうビジョンを持っており,今後Gunosyをどう発展させていきたいかという話を書いていきたいと思います。

1.僕が本当につくりたかったもの

Gunosyの話をする前に,ちょっと昔話をしなければなりません。僕は大学3年時(2年前ですね)に株式会社MYTHTEMという会社を友人たちとともに創業しました。この会社では当時登場したばかりのデジタルサイネージを主軸にした事業をしておりました。そして結果から言うと,失敗しました。

いや失敗までもいけなかったと僕自身は思っています。失敗というのは挑戦した結果であり,僕は多分挑戦すらしてなかった,土俵にすら上がってなかったのだと思います。そして期待してくださった周りの方々や取引先の方々,そしてなにより一緒に創業した仲間たちを結果として裏切った形になったことは何よりの反省と教訓になっています。ちょうど1年前のことです。

このようになった結果は自身の覚悟がなかったことにつきると思います。それから今までの1年間このままでは終われないという思いとともになぜ自分はこうなってしまったのかということを考える時間が増えました。

特に自分が覚悟できるまで「やるに値する課題」は何だろう?ということを考えました。これに至ったのはある家電ベンチャーを創ろうとしている友人があまりにも輝いていたからです。かれは明確に課題を持って自分のやりたいことをつきすすんでいました。ちなみに今でも僕は彼の大ファンであり,最高の友人であり,とても尊敬する起業家です。ほんとにすごいやつですよ。

それともう一つ考えたのは自分はマーケティングの天才じゃないということがわかったので,しっかりと手につく技術を持とうと考えるようになりました。プログラミングの勉強やさらにもう一歩踏み込んで,自然言語処理,機械学習,データマイニングなどの分野に強く興味を持ち勉強するようになり,大学の研究室でも主にその分野の研究をするようにもなります。この何気なく興味を持って手に入れた技術がGunosyにつながっていくので人生やっぱり点と点はつながるのだと思います。

そして,僕は本当につくりたいものは何なのかを考えるようになります。

2.個人の時代

話は変わり,21世紀は個人の時代だと思います。個の力が強くなる時代。そして何となくそんな時代の到来に惹かれている自分がいました。多分僕の大学生活を突き動かしてた原動力もこの「強い個人への憧れ」だった気がします。

そこで僕は個人の強さへの憧れをもつきっかけとなった先輩起業家の会社で約半年間インターンすること,そして非常に感銘を受けた本であるWeb進化論を再読することにしました。

インターン先ではとにかく多くのことを学び,特にプログラマとして大きく成長することができました。機会を与えてくれた先輩には感謝の念しかありません。自分の興味にそった技術を身につけることはとてもいいことだと思います。学習のサイクルが回るようになる。このインターンで改めて自分の興味に没頭することの重要性を確認しました。

そしてある読書会でWeb進化論を再読する機会があり,そこで1つの課題を僕なりに考えることができたと思います。

Web進化論では,webが個の時代を加速させ,Googleがその中でいかに大きな役割を果たし,いかに大きなスケールとビジョンを持って世界の情報を整理するという課題に取り組んでいるのを描くシーンがあり,僕はそこが大好きなのですが,ふと思いました。「Webってほんとに個人を強くしているのかな?」

GoogleもFacebookもwebで個を強くすることに貢献していると思いますが,おそらくこの2社がまだ解決していないような
課題がありそうだという考えに至るようになりました。

そもそも「個が強くなる」ってどういうことだろうか。
僕はこれを「個が賢くなる」と置き換えられると思います。それも検索エンジンで得られる「知識」ではなく,知識を解釈した上で得られる「知恵」を得ることが重要だと感じています。現代で最後に自分を守ってくれるのは多分武力ではなく考える力だと思うからです。

というわけで「webでもっと個人が賢くなるのを手伝うようなサービス」を創りたいと考えるようになりました。

そのときの課題は何だろうか?

僕が思うに,今webのなかで明確に自分を創れてる人はいないと思います。
その原因はwebには情報がものすごい速さでたまっていくのに個人の時間は限られていることだと思います。特に現代人は忙しい。

普段の生活に加えて,家に帰ってPCを開くとfacebook,twitterなどのソーシャルメディアを見て,Googleリーダーやはてなでブログを確認し,TechcrunchやMashableなどの海外系のtech系メディアを確認する。Quoraなどの質の高いQ&Aサイトも見たい。PCを閉じたら新聞があり,雑誌があり,テレビがあり...

もう全ての情報を確認するのは不可能。なのに情報をどう確認しているかと言うとtwitterやfacebookなどで盛り上がった話題に表面上だけ飛びついたり,RSSで確認する以外になかなかよい情報のフィルタリング手段が現在提供されていない気がします。

そうやって何となく盛り上がった話題だけを仕入れていっても「個」は強くならないと思います。
「個」が強くなるには自分はこれだと思える武器が必要。

そのためには僕は「自身の興味」に従い,それに没頭することが大事だと思います。

でもwebにそういう手段ってあまりない。(もしくは本気でそれをやるには意外とハードルが高い)
Googleは調べモノには良いですが,自分の知らないクエリーを投げれない。興味ってそこまで明確に言語化できないと思うんです。クエリー化できる興味って実はあまりない。

なので僕は「webを使って個人がもっと賢くなれる場をつくるにはどうすればいいか」という問題はGoogleがかなり解決したように見えるけど,まだまったく解決されてない問題じゃないのかなぁと思うようになりました。

そしてこの課題を解くためにGunosyを開発しようと決意します。

3.Gunosy

Gunosyとは簡単に言うと「興味にそったニュースや記事をあつめてくるサイト」です。

はじめは実はQuoraみたいに色々な人の知恵や見解を集めてくるサービスを創りたかったのですが,なかなか難しいことが分かり,じゃあ今の自分の持ってる技術をでできることをやろうということで,「興味」という点にフォーカスし,自分では積極的に調べにいかないけど興味があるニュースや記事を集めてきて,「興味の入り口」となるようなサービスを創ろうと考えました。(そしてGunosyは今後やっぱり知識ではなく知恵がたまっていくようなサービスにしたいと思っております)

世間ではこれをセレンディピティというそうですがそんなイメージです。

そして簡単に興味を集めてくるといいましたがそんな簡単ではない。

webのパーソナル化というと結構な歴史があり,そして失敗の連続でもありました。

じゃあGunosyはそういったものと何が違うのか??

ひとつは「機が熟した」ことにあります。

当時は興味をとる手段と言えばアンケートをとってみたり,ブラウザの行動履歴をとるのが精一杯でしたが,今ではtwitterやfacebookに膨大な個人の興味が蓄積されています。さらにブログやwebメディアが浸透してきたことで,Web上に良質なコンテンツが増えたこと,スマートフォンやタブレットの登場によりわざわざPCを立ち上げなくても通勤電車の中やベッドの上で簡単に情報を確認できる環境になっていることも当時と大きく違います。

もう一つは技術的な強み。

Gunosyの開発チームは東京大学で自然言語処理と機械学習を専門に研究しています。特にソーシャルメディアと言われる分野を自然言語処理的なアプローチで解析することが得意なチームです。この分野の研究はまだ勃興したばかりであり,名高い研究者や大企業相手に若い研究者や起業家が勝つ可能性のある(数少ない)分野の1つです。

さらに機械学習的なアプローチで,Gunosy上でのユーザーの行動から興味を学習し,より精度の良い推薦ができるようになっています。機械学習の分野も割と新しい分野で,これからweb上にたまったビッグデータをどう解析するかという分野にどんどん応用されていくはずです。

かなり長く,最後は宣伝みたいになってしまいましたが以上です。

Gunosyはあなたの興味にあわせたニュース,記事を推薦してくれるパーソナルマガジン。
その目的は「webを使って個を強くすること」。そのために検索エンジンでは調べてこないような情報を「興味」という軸であつめて「興味の入り口」をつくること。


そして今後Gunosyは知識でなく知恵を蓄積できるようなサービスに進化していきます。

最後まで読んでくれた方ありがとうございました。

もしよろしければGunosyに一度登録し,使っていただければと思います。

1 件のコメント:

  1. ブログ拝読しました。ひとことで感動とか尊敬とか簡単に言っちゃうのもあれなので、これからに期待していますとしか言えないのですが、ひとまず、リリースおめでとうございます!

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